2012年2月 1日 (水)

シナロアの山地スタイルの家

0bcanon2420_convert_20120131113056 僕が住んでるメキシコ西海岸のシナロア州は、東側に山脈がそびえています。 西シエラマドレ山脈と言いまして、3千メートルを越える高峰もあります。 この山裾に分け入ると、点在している小さな村の庶民の家は、たいていこんな感じです。

椰子の葉葺きの屋根、泥を塗って均した壁、小さな窓、雨期に備えて高床になっています。 床は粘土の土間です。

先週、ハルパ(JALPA)という村に行って聞いたんですが、こういう家は、セメントも煉瓦も釘すらも無しで、村の近所にある材料だけで建てられるそうです。 以前は村の青年は、お嫁さんを貰うために、うんうん頑張って手作業で家を造ったそうです。

さて、この手の家の壁の骨組みは、石で出来ているんだそうです。 かなりビックリです。

100_0693_convert_20110203124914このお家は、以前に紹介しましたが、こういう石の壁の家が、あちこちにあります。

石を組み合わせ、小さな丸木をはさみながら、壁を立ち上げています。 これで十分に丈夫らしいんですが、隙間風が入り、石の間はサソリや毒蜘蛛の恰好の棲家、これではお嫁さんは来てくれませんね。

0bcanon2424_convert_20120131113619この石壁の上に、谷間から運んできた粘土を塗る。 乾いてひび割れたら、湿らせてまた塗る。 このお家はその途中段階のようですが、頑張ればやがてツルツルの粘土壁が出来上がる。 これに石灰を塗ったら、見事な白壁になります。

まあ内壁だけ綺麗に塗って、外は石のままの家も多いようです。 そのほうが、風情がありますしね。

ところで、僕が住むテアカパン村は、マングローブの湿地の中にあって、石も粘土もまったくありません。 一昔前までは、家(といっても小屋ですが)は椰子の葉っぱの屋根と葉柄の壁で出来ていたそうです。 さすがに最近はもう、ほとんど無くなっちゃいましたけどね。

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2012年1月31日 (火)

スーパーカブ

0bcanon2160a_convert_20120119143357 エスクィナパの街角で見かけたバイク。 なんとなくレトロなデザインで良い感じですねぇ。

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あんまり見かけない奴だな、と良く見てみれば、ホンダですな。 エコノパワーなんて書いてあります。

そうすると、これが噂の超低燃費車ですかな?

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おお、前のところにメタルのプレートが付いてて、ちゃんとスーパーカブとあります。

良いですな、欲しくなっちゃいました

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じろじろ見てたら、持ち主が現れました。 中古で買って2年ほどになるけど、エンジンオイル換えてるだけで、まったく故障ゼロだそうです。

凄っごく丈夫で便利だよ、免許もいらないし...、う~ん、そうかなぁ、まあ田舎町だからいいんでしょうな(*^m^)。

メキシコでは、案外とバイクって少ないんです。 僕が住んでる漁村、テアカパンでは、4輪バキーの方が普及してます、砂浜を走れますからな。 バイク乗ってるのは、郵便配達のおじさんぐらいかな。 町でも、ピザ屋の宅配が目立つ程度です。 広い国で大家族ですから、今のところ特に田舎町では一家に一台ピックアップかバンで後は自転車、という感じ、もっと僻地ではロバやお馬が主力ね。

だけども僕が思うに、カブとかスクーターね、もう少し経済状態が良くなればですけど、近いうちにブレークするような気がしますな。 安くて、ロバ並みに丈夫で悪路に強いメキシコ仕様、売り出してくれないかな?

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2012年1月29日 (日)

マツダイ

0bcanon2375_convert_20120128104302 こんなのを、いただきました。 45cm、1.2kgあります。

テアカパンでバコカ(BACOCA?)と呼ばれている魚です。 Lobotes pacificus、英名トリプルテイル(TRIPLETAIL)。 和名はマツダイですが、日本近海にいるのとは別種になっているようです。

大きなティラピアみたいですが、海魚です。 沖合いに居て、シイラ漁の混獲でよくとれる、テアカパンでは特に珍しくも無い魚です。

見かけによらず、表層に居る魚だそうです。 シイラ漁師は、椰子の葉っぱを束ねて海面に浮かべ、葉陰に寄って来たシイラを巻網で獲ります。 これにこのバコカも寄ってくる。  ときにはお目当てのシイラはゼロで、バコカばかりの日もあるそうです。

美味しい魚なんですが、見かけが食欲をそそらないせいか、普通は市場には出ない。 漁師が持って帰ってしまうか、たくさん獲れれば、ご近所に配るような魚です。

0bcanon2398_convert_2012012810542_2さっそく捌きました。

こういう扁平な魚を卸すの、好きです。

ご覧のように、綺麗な白身です。

0bcanon2399_convert_20120128112054皮を引くと、血合いが鮮やかです。 まるでタイみたいです。

だけど、硬直が解けて身が柔らかくなっています。 鮮度は悪くないんですけどね。

遠くから獲って来るし、売り物じゃありませんから船底に転がされて日に当たってたんでしょう、まあ仕方が無いですな。 ムニエルとから揚げにしました。 ちゃんと締めて冷やして持ってくれば、タイ並みに美味しい、ぷりぷりした刺身になる魚です。

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2012年1月28日 (土)

絶滅危惧種なのに

0bcanon_convert_20120127101038 今日は、こんな子を売りに来ました。 ワカマヤ・ベルデ(GUACAMAYA VERDE)、学名Ara militaris、英名MILITARY MACAU。 全長60cmを越える大型のオウム。 日本でも動物園にいると思います。 メキシコと南米の、非常に限られた地域の原生林のみに分布する絶滅危惧種です。 僕が住むシナロア(SINALOA)州とその南のナヤリト(NAYARIT)州の山岳地帯はその限られた生息地です。

去年生まれの若い鳥だそうです。 段ボール箱に入れられ車に積まれてたもんだから、暑さでクチバシを開けて苦しそうです。 ともかく木陰に持っていって風を入れる。

値段を聞いたら2500ペソ(約15000円)と言いました。 試しに値切ってみたら1500ペソまで下がりました。

もちろんはなっから買う気はありません。 違法捕獲された個体ですから。 大安売りだよ、今日2500ペソで3羽売ったのよ(おのれ~怒)、これが最後だからね、なんてしつこく売りつけて来るのをぴしゃりと断る。 買えばこの連中、また新しく捕まえて売りに来ます。

大型の希少オウムは、ペット用の違法捕獲売買によって、絶滅に瀕しています。 もちろん違法捕獲は今にはじまった事ではありません。 だけど一昔前までは自然環境が健全で、少々なら大丈夫な状態でした。 今は伐採や道路建設で、生息地がどんどん狭まっていて、個体数は急速に減ってます。 珍しくなればなるほど、金持ち連中がステータスシンボルに欲しがり、高く売れる。 悪循環です、なんとかならないものかと思います。 売人の顔写真も撮りましたけど(邪悪な面)、通報しても何のアクションも無いですから(僕が警察に賄賂を払えば動くかも(≧ヘ≦)。

0bcanon2079_convert_20120127101947これは、うちの近所の水路に捨てられていた、ウミガメの甲羅です。 60cmぐらいあります。

たぶんアカウミガメ、学名Caretta carettaだと思います。 絶滅危惧種で、もちろん捕獲禁止です。 メキシコでは、カワマ(CAHUAMA)と呼ばれています。

ウミガメは、沖合いのサメやシイラ漁の際にはよく網に掛かるそうで、それを食用にすることが普通に行われています。 建前上は、混獲で助からない場合のみなんですが、みんなカワマの煮込みは旨いよ、としきりに言います。 漁師達は昔から、それを狙って漁をするのではないにしろ、網に掛かればありがたく頂戴するということをやってるわけで、これも捕獲禁止だなんて知ったこっちゃないのが本音ですな。 たださすがに流通は出来ませんから、猟師町の隠れた珍味と言うことに...(゚m゚*)。 これもまあ、ほどほどにして欲しいもんです。

  

 

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2012年1月26日 (木)

童話シリーズ 第5話 ノエミちゃんの十字架ーIV

0bcanon1745_convert_20120121135433 ...昨日からの続き...

 

テオドーロおじさんは立ち上がると、トウモロコシの束を抱えて来て、座りなおしました。 ランプの光で、テオドーロおじさんの目に、涙が溜まっているのが分かりました。

”ええっ、それでノエミちゃんは、バスに轢かれて死んじゃったの?”

テオドーロおじさんは、うんうんうなづきながら、ランプに来た大きな蛾を見ていましたが、また話し始めました。

”おばさんはな、バスが来るのを見て、びっくりして叫んだんじゃ。

ノエミ、危ない、そこで待っとれ。 バスが来た。 危ない、そこで待っとれ。

ノエミちゃんもびっくりしてバスを見て、いったん立ち止まりかけた。 けれどもまた走り出すと、道へ、バスのまん前に飛び出したんじゃ。”

テオドーロおじさんは、ふうと大きく息をつきます。 しばらく目を閉じていましたが、また話し始めます。

”どんっ...、バスはノエミちゃんを撥ね飛ばした。 おばさんの目の前じゃった。

ノエミー...、おばさんはノエミちゃんを抱き起こした。 耳と鼻から血が流れ出ていて、頭が割れてしまっているようじゃった。

ノエミー...、おばさんが泣きながらノエミちゃんを呼ぶ。 するとノエミちゃんはな、おばさんの腕の中で目を開けると、かすれたほとんど聞き取れない声で言ったんじゃ。

...おばさん...、ごめんなさい...、轢かれちゃった...、おばさんの言う事を聞かんで、轢かれちゃった...、ごめんなさい...、おこらないでね...、ごめんなさい...

おばさんはノエミちゃんに言う。 だいじょうぶ、おこったりしないよ、だいじょうぶだからね...

それでもノエミちゃんは、おばさん、おこらないでね、おこらないでね、と繰り返して言うんじゃ。

そうしたらな、おばさんはノエミちゃんを横たえるとな、耳に口をつけて、ほらノエミ、見てごらん、と言った。

そしてな、ほら見てごらん、と叫びながら立ち上がるとな、そこに止っていたバスに、ノエミちゃんを撥ね飛ばしたバスに、頭からぶつかって行ったんじゃ。 まるで雄ヤギのような、凄い勢いで、うわあぁ~...、と唸りながら、真っ直ぐに頭からぶつかって行ったんじゃ。”

0bcanon1580_convert_20120121134946”ゴツンと大きな音がして、おばさんは撥ね返されて倒れた。 頭から血が噴き出しておった。

おばさんは、ノエミちゃんのところに這って行くと、ノエミちゃんを抱きしめて言った。

ノエミ、見たかい...、ほら、おばさんも轢かれちゃったよ...、ノエミといっしょや...、おばさんも轢かれちゃったよ...、心配せんでいいからね...。

するとどうじゃ、ノエミちゃんは、おばさんの胸に顔をうずめて、安心して、にっこり笑ったんじゃ。”

”すぐに救急車が来たんじゃが、ノエミちゃんは、その時にはもう、息をしとらんかった。 だけどもノエミちゃんは、笑っておった。 楽しい夢を見ながら眠っているとしか思えん、それはきれいな顔じゃった。 それからおばさんも、ノエミちゃんを抱いたまま、もう息をしとらんかったが、やっぱり楽しそうに笑っておった。”

テオドーロおじさんの目から、涙がこぼれ出て、髭だらけの頬を伝って落ちました。 チャヨおばさんも、フラビオ兄さんも、目が真っ赤です。 セレステの頬も、いつの間にか涙で濡れています。

0bcanon1856_convert_20120122121904かわいそうなノエミちゃん...。 かわいそうなおばさん...。  

いちど立ち止まりかけたノエミちゃんは、どうしてまた走り出したのでしょうか。 少しでも早く、おばさんの所へ行きたかったのでしょうか。

自分でバスにぶつかって行ったおばさん。 どんなに悲しかったことでしょう。 どんなにノエミちゃんが愛しかったことでしょう。

でもな、そうしてあの2人の魂はな、しっかりと抱き合ったまま、いっしょに天国に行ったんじゃろうな。 いつまでも、どこででも、いっしょにおるんじゃろうな。”

泣き顔のみんなを見て、テオドーロおじさんが言います。

そうでしょう、きっとそうに違いない...、セレステは思います。 また涙が溢れ出てきます。

”それでな、あの二つの十字架はな、バスの運転手と校長先生が作って、あそこに置いたんじゃ。 まだあのワムチが若木だった、ずいぶん昔の事じゃ。 その運転手さんも校長先生も、もうよその町に行ってしもうた。 ノエミちゃん達の事を憶えておるのも、わしの他にいくらもおらんようになってしもうたのう。”

0bcanon2187_convert_20120121140301”まあな、セレステ、十字架には乗ったりせんほうがええぞ。 みんな気の毒な人たちじゃからな。”

すっかり涙が乾いたテオドーロおじさんが、じろりとセレステを睨んで言います。 

セレステは、唇を噛みながら、うんうんうなづきます。

あの小鳥達や子供達が集うワムチの木陰には、ノエミちゃん達の魂が住んでいて、セレステたちを見ているような気がしますから。

...お終い...

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2012年1月25日 (水)

童話シリーズ 第5話 ノエミちゃんの十字架ーIII

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...昨日からの続き...

 

”ノエミちゃんはおとなしい子で、村の子供たちと遊んだりはしなかった。 いつでもおばさんと一緒にいて、ほかの子達が遊ぶのを見ておったよ。”

”わしが傍を通りながら、ようノエミ、お早うさん、なんて言うとな、ちっちゃなノエミちゃんは、お目々をぱちぱちさせてわしを見上げて、笛みたいなきれいな声で、お早うございます、なんて澄ました顔で挨拶したよ。 それからおばさんの後ろに隠れて、恥ずかしそうに笑ったりした。 可愛い子じゃった。”

”ノエミちゃんは、7つか8つぐらいだったのじゃと思う。 もう学校に行ってないといかん年頃なんじゃが、なんでも出生証明がないから、入れてもらえんという話じゃった。 それでもおばさんはノエミちゃんを連れて、何遍も学校に頼みに行ったし、村長さんも一緒に頼んだりしてな。 まあ学校のほうも困ったんじゃろうな、とりあえずは生徒としてじゃなくて、勝手に来て勝手に教室に座ってるだけにしといて、手続きは追々嘘の書類でも見つけてきて何とかしよう、ということになったんじゃ。”

0bcanon1714_convert_20111215105329”それで、あれは5月頃じゃったかな、ワムチの実が白くはじけとったからな。 おばさんは、ノエミちゃんを学校に連れて行って、教室に1人でおいてきたんじゃ。”

”ノエミちゃんは、教室の隅っこで、寂しそうに1人で座っておったそうじゃ。 なにせ今まで、いつでもどこでも、おばさんと一緒じゃったからな。 それでも泣きはせんで、行儀良く座っておったそうじゃ。”

”おばさんのほうはな、ノエミちゃんを教室においてくると、あのワムチの樹の下に来て、待っておった。 立ったり座ったり、そわそわそこいらを歩き回ったりしながら、3時間以上も待っておったんじゃ。”

”そうするとな、カランコロンと教会のお昼の鐘が鳴り出した。 ノエミちゃんの教室は一年生じゃから、お昼でお終いじゃ。 おばさんは、ワムチの木の下から背伸びをして、学校のほうを見ておった。”

”教室のドアが開いて、子供達が出てくる。 最後に、白くて髪の長いノエミちゃんが出てくるのが見えた。”

ノエミー...、ノエミー...

”おばさんがノエミちゃんを呼ぶ。”

”ノエミちゃんは、ワムチの木の下のオバサンを見つけた。 寂しそうだった顔がパッと輝いて、にっこり笑うと駆け出した。 あっという間に他の子供たちを追い越すと、校庭の裏門を抜けて駆けて来た。 そこへな、グァサベの町からのバスが走って来たんじゃ。”

。。。明日に続く~...

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2012年1月24日 (火)

童話シリーズ 第5話 ノエミちゃんの十字架ーII

0bcanon_1837aa ...昨日からの続き...

“お前たち、道端とか川土手とか、いろんなところに十字架があるのは知っとるじゃろ。 あれはな、車に轢かれたとか行き倒れとか、う~んと、馬から落っこちたとか、溺れたとか、事故で人が死んだときに、そこに立てるんじゃ。”

“ウシに突かれたとか?”

“ワニに食われたとか?”

“ヘビに呑まれたとか?”

“セミにオシッコかけられて樹から落ちたとか!”

“う~黙れ、こんにゃろ~...”

“うわぁ、助けてくれ~”

“こらこら、静かに聴けと言うたじゃろ。 座れ座れ。”

テオドーロおじさんに睨まれて、二人は神妙に座りなおします。

“人が事故で死んだときにはな、お空に登った魂は、まずは死んだ場所に降りて来て、それから好きなところへ飛んで行くんじゃ。 それから、天に戻るときも、そこを通って行くんじゃ。 だから十字架をたてるわけじゃよ。”

“あのワムチの樹の下の十字架はな、ノエミちゃんという、セレステよりちょっと小さな女の子と、おばさんのじゃ。 おばさんのほうの名前は、何と言ったかな、もう忘れてしもうたわい。”

0bcanon1731_convert_20120121133736“ノエミちゃんたちは、用水路の土手の下に小屋を造って住んどった。 いつそこに来たのか、どこから来たのかは、だれも知らなんだ。 それから、ノエミちゃんの齢がいくつなのかも、誰も知らなんだ。 たぶんノエミちゃんだって、おばさんだって、知らなんだんじゃろうな。 おばさんもノエミちゃんも、村の人ではなかったから、知り合いも親戚もおらなんだしな。”

“二人が親子で無いのは、間違いない。 おばさんは50をとうに超えてるように見えたし、二人はちっとも似てなかったからな。 どこかでノエミちゃんを拾ったか、さらって来たんじゃ、なんて言う奴もおったよ。 まあ本当にそうだったのかもしれん。”

“おばさんは、村長さんやドクターのお邸を掃除したり子守をしたりして、お礼に食べ物やお古の服を貰って暮らしておった。”

“ノエミちゃんはな、色が白くて茶色の髪の、そりゃあきれいな子じゃった。 それにな、いつでも裸足で、継ぎ当てだらけの服を着とったが、長い髪の毛はきれいにといてあったし、お顔だってきれいに洗ってあった。 それはな、おばさんがいつでもどこでも、朝から晩まで一緒にいて、可愛がっておったからじゃ。 それこそ、母さんネコが子ネコを舐めてきれいにするみたいなもんじゃ。 自分は食べんでも、ノエミちゃんには好きなだけ食べさせとったしな。”

...明日に続く~...

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2012年1月23日 (月)

童話シリーズ 第5話 ノエミちゃんの十字架ーI

久しぶりの童話です。 シナロア州の小さな村に住む、9歳の少女、セレステのお話、第5話です。 どうかよろしく。

幼い頃に父母を亡くしたセレステは、子供のいないテオドーロおじさんとチャヨおばさんに貰われて、村はずれの小さな椰子の葉葺きのお家に、フラビオ兄さんと4人で住んでいます。

第5話、ノエミちゃんの十字架

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セレステの小学校の裏門の向かい側に、大きなワムチの樹があります。 初夏には、赤い甘くて渋い実が成る樹です。

いつも小鳥達の鳴き声でいっぱいの樹。 夏にはセミが喧しく鳴き、日が暮れると、草むらでコオロギや鈴虫の合唱が始まります。

それから毎日お昼過ぎには、大きな木陰は学校帰りの子供達でいっぱいになります。 小さな子達は、お母さんがお迎えに来るのを待ち、セレステ達は、遊びの相談がまとまると駆け出していきます。

そのふた抱えもありそうな、ごつごつした幹のそばに、小さな十字架が二つあります。 セメントで出来た白い十字架に、黒い鉄の飾り十字架が寄り添っています。

0bcanon1710_convert_20120121110923ある夏の夜です。 セレステ達はランプの明かりの下で、トウモロコシの脱粒をしていました。 テオドーロおじさんが、乾いたトウモロコシを摑むと、右手に嵌めた輪っかに引っ掛けて、ぐいと皮を剥きます。 茎をポキンと折って、筵の上に放り投げる。 チャヨおばさんが、がりがりすり合わせて、トウモロコシの実を落とす。 溜まったら、フラビオ兄さんとセレステが掻き集めて麻袋に入れます。

その合い間にセレステは、フラビオ兄さんに擦り剥いた膝にオキシフルを塗ってもらっています。

”あう~、沁みる~、吹いて吹いて~...。”

”セレステったらさ、セミにオシッコひっかけられて、十字架から落ちたんだよ、バカだね。”

”あれは、あんたが音立ててセミを飛ばしたからじゃないの、ドジっ。”

セレステは、ぶってやろうと立ち上がります。

”べろべろべ~...” ”こら待て~...”

 

たちまち追いかけ合いが始まります。

Canontest154a_convert_2012012110595”おい、お前たち、十字架に上ったのか?”

テオドーロおじさんの低い声が響き、二人は静かになります。

”十字架って、学校の横のワムチの樹の下のやつか?”

”うん、セミを捕ろうと思って...。 ねえおじさん、あの十字架はどうしてあそこにあるの?”

セレステは、テオドーロおじさんの顔色が変わったのを見て、おずおずと尋ねます。

テオドーロおじさんは、タバコに火を点けると、怖い顔でうんうんうなづきながら、ぷうと煙を吐きます。 

”うわぁ、煙い~...”

セレス手もフラビオ兄さんも、あわてて逃げ出します。

”うははは...、あの十字架はな...、じゃあ話してやるかな、静かに聴くんじゃぞ、さあ座れ。”

 

セレステたちは、テオドーロおじさんの前に並んで座ります。

 

...明日に続く~...

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2012年1月21日 (土)

いじめっ子スイカ売り

0bcanon2203_convert_20120119135931 アカポネタの町角をぶらぶらしてたら、スイカ売りが来ました。 こうやってピックアップにスイカを積んで、喧しい音楽と共に、採りたて甘々スイカ~一個10ペソ~、なんで流してます。

かあちゃん、スイカ食べたい! あいよ。 10ペソ(約60円)玉を握り締めて、駆け出す。

スイカちょうだい~、と呼び止めて、ふとこれをブログネタにしようと思いつき、パシャリ、パシャリと写真を撮る。

お兄さん、どれでも10ペソですかぁ? 10ペソのスイカはもう売り切れだよ、あるのは20ペソだけね。 え~、いま一個10ペソと言ってたじゃないか! あれは録音されてて変えられないのよ、20ペソだよ。

いじめにあった子供風の泣き顔で戻る。 かあちゃん、お金たりなかった...(シクシク)。 ど~した? いや、これこれしかじかで...。

無表情で話を聞いてたかあちゃん、ボクから10ペソを受け取って、つかつかスイカ売りにと歩み去ると二言三言。 ポンと10ペソ硬貨をスイカ売りの手の平に落とすと、荷台からスイカを一つ抱え上げて戻ってくる。 あっけに取られるOTTOおじさん。

アンタがボケた観光客みたいに写真撮ったりするから、ぼろうとすんのよ。 く~、腹立つ~。

0bcanon2338_convert_20120120104436ということで、やっと手に入れた涙のスイカです。 ボクのT-シャツもスイカ模様ですな、これが災いを招いたのかな?

約5kgの小ぶりながら、ピンピンに新鮮です。

ちなみにメキシコのスイカは、普通はこんな楕円形です。 たまに丸いのも売ってますが、それは輸出用種無しスイカの傷物か横流しね。 味は種有り楕円スイカのほうが甘くてしゃりしゃり美味しいです。

0bcanon2339_convert_20120120103839家に帰り着いて、さっそくスパチョンと切ってみました。 期待に違わず、適熟の美味しいスイカでした。

こうしてスイカを齧ってると、子供の頃を思い出します。 夏休み、入道雲むくむくの暑い午後、母がスイカに包丁を入れるのを息を呑んで見守るパンツ一丁のOTTOガキンチョ。

白っぽくて全然甘くないのに当たった時、父が濃い砂糖水に氷を砕き入れ、小さく切ったスイカを浮かべて、氷スイカなるものを作ってくれた。 気が遠くなるほど美味しかったなぁ。 メキシコではスイカは年中あって、安くて手軽な果物の筆頭だけど、僕にはいつも格別な存在だ。

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2012年1月20日 (金)

ブタ七輪

0bcanon2202_convert_20120118114342 アカポネタの露店で見かけたブタさん型の七輪。 長さ約70cmほどあります。 子豚サイズですな。

結構しっかりとした焼き物です。 鉄製の台付きで700ペソ(4千円少々)。 写真では判りませんけど、鼻とお尻に小さな穴が開いています。 何のためだろう、持ち運び用かな(作者が写実主義なのかも)。 お尻の穴から立ち昇る煙で肉焼いたら旨いでしょうな(゚m゚*)。

非常に気に入ったんですが、焼き網の高さが調整不可なのが難点だな。 それからちょっと大きすぎる。 ちょこっと焼き魚、なんて時に炭や薪の消費量が多くなって、使い勝手が悪そうだし。 これは業務用か、薪を盛大に燃やす煮炊き用ですかね。 迷ったあげく、結局買いませんでした(ブタさん、ごめんなさい)。

思えばメキシコでは、廃物利用的なホイールやドラム缶、一斗缶グリルは凄く一般的なんですが、焼き物の七輪や火鉢みたいなものは、ほとんど見かけないです、何故でしょうかね?

個人的には、グリルの類は金属製はダメね、焼き物製が一番です、焼き上がりが違います。 メキシコの田舎では、薪が燃料の重要な位置を占めてるし、炭も豊富です。 家はスカスカで風通しが良いからCO中毒の心配はない、レンガ造りの家だと火事にもならない。 七輪は、室内で安心して使えそうに思う。

それから皆さんは、メキシコと聞けば常夏の国のイメージがあるでしょうけど(僕が住んでるテアカパンはそうです)、メキシコシティ周辺の中央高地や北部など、冬は結構寒いんです、ときには氷の張れば霜柱も立ちます。 七輪で暖を取りながら、ふっくら焼けたトルティージャを頬張る、なんて最高だと思うんですけどね。

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