2020年2月15日 (土)

フリタダ

 023pukipuki_20200214071301 昨日の夕食は、料理するつもりで材料も下ごしらえ済みだったんですが、キッチンのガスがなくなっちゃいましてね。 急遽、社宅のすぐそばの、このお店で買いました。

ちなみにラテンアメリカでは個々の家庭にガスタンクがあって、空になったら満タンのガスタンクと交換してもらうシステムです。 電話を入れればガスの配達車が来てくれます。

024pukipuki_20200214071301買ったのはこの料理。 豚の骨付き肉と脂をたっぷり付けた皮をぐつぐつ揚げ焼きにしたもので、フリタダ(FRITADA)と言います。 エクアドルの代表的な庶民食とのこと。 そうそう、メキシコにもカルニタス(CARNITAS)という大鍋で豚丸ごと一頭をぶつ切りにして揚げ焼きにするような、そっくりな料理があります。 フリタダは、カルニタスを小鍋料理にして、内臓をなしにしたってかんじでしょうか。

025pukipuki_20200214071401 焼きあがった肉と、付け合せの茹でとうもろこし(MOTE)、揚げバナナ(PATACON)、ジャガイモ(PAPAFRITA)がホットケースに。

027pukipuki_20200214071701付け合せを深皿にがさっと入れて、大切りの肉をどっさり乗せて、ちょっと酸っぱいサラダを添える。 皮や脂身もたっぷり入れてもらう。

002pukipuki_20200215015801社宅に戻って、さあ食べよう。 ちょっと野菜が足りないな。 サラダを作りました。 これで栄養バランス完璧ですね。

028pukipuki_20200214071501ぎっしり入った肉をめくると、ほらね、トウモロコシやバナナやジャガイモが出て来ます。 念のため言っておきますが、これらは全然甘くありません、主食ですから。

日本の丼物みたいな感じですかね。 とっても美味しいです。 そして結構なボリュームで大満足。 庶民が普段食べてる料理に、外れなしでしょうかね。 

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2020年2月12日 (水)

社員食堂より

034pukipuki_20200212103301 エクアドルではずっと、昼食は社員食堂でいただいています。 同じ釜の飯を食えばアミーゴだもんね。

221pukipuki 本日の出しもの。 まずスープですな。 骨付き牛肉のサンコチョ(SANCOCHO)。

サンコチョっていうのは南米やカリブ諸国のスープ料理でして、地方によって色んなバリエーションがありますが、基本的に根菜を含めた野菜と穀物、肉がたっぷり入ったさっぱり味のスープです。 いただいたのはもちろん、エクアドル海岸地方風のサンコチョ。 ユカイモ、チョクロ(白いトウモロコシのエクアドル名)、ジャガイモ、ニンジン、それからたぶん燕麦入り。 ふっくらしたユカイモと筋っぽいあばら肉が美味しいです。

222pukipuki メインはこれ。 鶏肉のオーブン焼きとメジェコのサラダ。 メジェコ(MELLECO)は、アンデス地方固有の根菜です。 親指ぐらいの大きさでジャガイモに良く似ていますが、まったく別種で、なんとツルムラサキ科の植物。 葉っぱも食べられて、タンパク質、カルシウム、ビタミンB類が豊富な健康野菜とのこと。 ローカルマーケットに普通に売っています。 パッと見、不整形なベビーポテトと間違えます。 写真の乳白色のがそうですが、角切りになっちゃってます。 歯ごたえがある固い食感でジャガイモとは全く別物、味は特に特徴はなかったです。

こうして社員食堂で、日々さりげなく郷土料理を食べさせていただいてます。

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2020年2月 8日 (土)

大河の畔で

045pukipuki_20200208043001 またエクアドルのグアヤキルに来ています。 人口約3百万の巨大都市。 グアヤス川(RIO GUAYAS)という大きな川の畔の町です。 グアヤス川は、南米の太平洋側最大の川だそうです。 ここいらは河口から60km上流になるんですが、向こう岸がかすむほどの川幅です。 薄黄色に濁った水面に水草の塊が、ゆっくりゆっくり流れていきます。 ここから下流域は巨大なデルタ(三角州)になっています。 南米の川って、アマゾンは別格としても、このグアヤス川も、アルゼンチンのラプラタ川も、まあでかいこと。 日本では考えも及ばないスケールです。

054pukipuki_20200208043001ショッピングモールのなかにあるスーパー。 お客は優雅に着飾った人達ばかり。 グアヤキルには豪華な商業地域もずいぶんな広さで方々にある。 日本では考えられないスケールの金持ちもたくさんいる。 そしてバラックと掘っ立て小屋の貧民街も、点々と混在してます。 南米はどこもそう。 こういう桁外れの格差も南米です。

OTTO翁はね、適正な格差はあったほうが良いと思うんですよね。 貴方がうんと頑張って金持ちになりたいと願うなら、頑張った分だけ望みは叶えられるべきです。 貧乏で良いけどゆったり暮らしたい、もちろんその望みだって。 ただね、楽して、上手くやって、ずるして、騙して、略奪して金持ちになりたい人の望みは潰えるべきです。 それから頑張っても頑張っても死ぬほど貧乏ってことはあってはいけないと思う。

金持ちも貧民も、寝るのに必要なスぺ―スはベッド一つ分だし、一度に着れる服は一揃え。 食べ物だって人の何倍も食えやしない。 同じ人間ですもんね。 その範囲内の適正な格差なら、あって良いと思うな。 今いる工場の従業員たちってたいていは貧民街から来てるんですけどね、彼らの屈託のない笑顔に囲まれてるとね、ほんの少しの物があれば誰だって幸せになれるんだなって思います。 世界中の人たちの、つましい願いが叶いますように。 遠い大河の畔で、風に吹かれて思うこと。

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2020年2月 2日 (日)

時々うんざりすること

026pukipuki_20200201083301タケリア・エル・パンチョ。 マサトランの、人だかりができるタコス屋台です。

028pukipuki_20200201083301ひとつ13ペソ(75円ぐらい)。 味はまあ普通に美味しい程度ですが、具の盛りが凄い。 はち切れんばかりで頬張りきれないほど。 普通のタコスの倍はあります。

ここはOTTOファミリーの行きつけのタコス屋台でしてね。 特にカアチャンとマサトランに行った時には必ず行きます。 と言うかね、もうここばっかりで他に行きたがらないのね。 マサトランにはタコス屋台、たぶん数百軒、ひょっとしたら千軒以上あるでしょうに。 OTTO翁はいろんなところで食べたいのよね。で、無理矢理に他に連れて行くと機嫌が悪くてケチをつける。 タコスに限らず他の物でも、i行きつけの店が出来て店の人と懇意になると、もうそこばっかり。 僕は隣の店の物のほうが良かったら普通にそっちで買いますが、それはやってはいけないことらしい。 親しい人があそこの店が良いと言ったら、そこで買わなきゃいけないらしい。 時にこういうのって、うんざりするのよね。 人と交流するほどに、自由が失われるって感じでね。 やっぱり自給自足の隠遁者ー>仙人が良いですな。 頑張って、早くそうしよう😃。

さて、明日からまた南米に出張です。 今回は一か所に長期滞在です。 良い出会いがあればいいな。

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2020年1月29日 (水)

マザトランの地魚直売

Img20191001wa0015-pukipukiマザトランの旧市街側の浜に、地元漁師の水揚げ場があります。 こんな小舟での一本釣り近海漁です。 漁を終えた漁船が戻ってくるのは朝早くからお昼ごろまで。 釣りでの漁獲ですから魚はピンピン、それから網での漁では獲れない魚もあります。 マサトランの地魚が見れます。

Img20200126wa0003pukipukiフエダイやハタなどの磯魚や。

Img20200126wa0013pukipukiこの船は砂底系の魚が主です。 アジやサワラもいますね。

Img20200126wa0004pukipukiカワハギもたくさん。

Img20200125wa0012pukipuki直売もやってます。 値段は漁師と直接交渉します。 せいぜい魚屋で買うのよりちょっと安い程度、まあ鮮度は全然違いますけどね。 交渉が成立したら、ちゃちゃっとハラワタを抜いて捌いてくれますが、遠巻きに待機していた鳥たちがじわじわ間合いを詰めてきます。 ハラワタを投げると、わ~っと集って阿鼻叫喚に。 でっかいペリカンが何十羽も迫ってくるとちょっと怖いです。

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2020年1月28日 (火)

オールドマサトランの海浜プール

053pukipuki_20200128022901  南シナロアのリゾート港湾都市、マサトランの旧市街地区(オールドマサトラン)にある海浜プール。 満潮時には波が入ってきます。 波に乗ってお魚も入ってきて住み着いてるし、カニやヒトデもいます。 簡単な脱衣場と滑り台があるだけですが、無料で使えます。 太平洋を眺めながら、安全に海水浴が出来る。 格別の解放感が味わます。 なかなか良いサービスだと思います。 なぜかいつも、こんな具合にガラガラなんですけどね。

062pukipuki_20200128022901マサトランは南側が古くから開けた地区で、港や灯台や古い家並みや市場があえう旧市街地。 北側がソナ・ドラダ(ZONA DORADA、ゴールデンゾーン)と呼ばれる高級ホテルが並ぶ新リゾート地区になっています。 遠くに見えてるのがホテル群です。

052pukipuki_20200128031301海岸通りも明るくて、岬巡りって感じで素敵。 人が少ないのも良いです。

049pukipuki_20200128022901こじんまりした、波穏やかな砂浜もあります。 ソナ・ドラダは波が大きくてサーフィンスポットもありますが、こちらは地元の家族連れが多いです。 観光客はたいていソナ・ドラダに行っちゃうんですけどね、じつはこちらの海岸のほうが風光明媚なんですよね。 庶民価格のタコスやシーフードもあるし。 マサトランにいらしたら、皆さまもぜひ。

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2020年1月26日 (日)

古い石の道具

チェレ(CHELE)という南シナロアのシエラマドレ山麓にある人口千人足らずの村で、とても古い石の道具を手に入れました。

001pukipuki_20200125081601 これなんですがね、メタテ(METATE)と言いまして、トルティージャを作るのに、トウモロコシを挽き潰す石臼です。 石の棒はマノ(MANO)と言いまして、石のすりこぎです。 ただし、横に寝かせて使います。 

006pukipuki_20200125081601 裏返したところ。 3本足で、一本足側が少し高くなっています。

003pukipuki_20200125081601 使い方は、こんなかんじですかね。

011pukipuki_20200125081601 それから、これ。、石でできた洗濯板(ラバデロ、LAVADEROと言います)です。 井戸水をかけながら、この上でごしごし衣服を洗ったわけです。

民家の庭の隅っこに転がしてあったのを、ゆずっていただきました。 ひいおばあさんが死んで以来、何十年も使っていないと言っていました。 まるで博物館の展示物のような道具ですが、ほんの50年ばかり前まではメキシコの家庭で普通に使われていたわけです。 いまはもう、山岳地帯に住むインディヘナ達ですら、使わないでっしょうけど。

手に入れてしまったからには、使ってみるしかないですな。 近いうちに頑張って、手挽きの本物のトルティージャを作ってみようと思います。

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2020年1月24日 (金)

春のバルアルテ川

054pukipuki_20200124075901エル・ロサリオ郊外から望む、南シナロアの清流、バルアルテ川。 OTTO翁、川が大好きです。 こんな川を見下ろす丘で仙人になって暮らせたら良いな。 願わくば仙女も伴って、いつまでもね。 大きな桃が川上からどんぶらこ、なんてあったりしてね、あはは。 

ところで、国会で野党代表が選択的夫婦別姓の導入を求める質問中に、姓を変えないといけないから結婚できないって言われた事例をあげたら、だったら結婚しなくていいとヤジがあったと。 で、これが不適切だと。 古い価値観に縛られている人の、結婚の自由を否定し、時代に逆行する驚くべきヤジだと。 まあね、ヤジの言いようも問題だけど、古くて時代に逆行するからアカンと決めつけて封殺するのもどうかと思いますがね。 温故知新と言うじゃないですか。 いろんな考えがあってしかりで、多様性を言うならなおさらね。

OTTO翁はアメリカに1980年代半ばから9年住んだんですが、あの頃のアメリカって、すでに完全に家族が崩壊してましてね。 周りは離婚と離婚訴訟だらけ、ステップファミリーがもう普通とか。 と言うかね、結婚なんてもう経済的理由が全てで愛も恋もヘチマもないって感じで。 で、OTTO翁自身も結婚し子供をもうけ離婚したんですがね。 理想を追い求めて挫折したわけです、ハイ。 で、メキシコに住んで25年、再婚して23年。 メキシコって夫婦を基とする家族っていう考えは希薄でして、血縁の大家族が基でその結びつきが強いと言うかずるずるべったりの足の引っ張り合いで自立心に欠け、共存共栄じゃなくて共存共貧でしてね。 こちらもカオス状態で。 それなりに問題を抱えてます。 ちなみにアメリカは選択的夫婦別姓(僕らも別姓を選択した)、メキシコは結婚しても姓は変わらない非選択的完全夫婦別姓です。 そういう環境に長く住んで、もうリベラルとか多様性とは呼びきれない数多の問題を身近に見てきて、自分でも体験して来てるOTTO翁から見ると、夫婦同姓で結婚によって双方が元の家族の籍を離れ新しく家族を作るっていう結婚観はとても魅力的に感じますがね。

僕は夫婦別姓制度に関しては、消極的容認派です。 僕自身は夫婦同姓が良いです。 ただし自分の姓にはこだわらない、くじ引きで負けたら素直に相方の姓になりましょう。 もし合い方が自分の姓や別姓にこだわったら良い気はしないでしょうね、それでじゃあ結婚やめようってことにはならないとは思うけど。 ヤワじゃないんです、OTTO翁、一途なんです😃。 言い換えれば、古いんでしょうね。 でもまあ、残念ながら日本人と日本で結婚する機会はないでしょうけどね。

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2020年1月23日 (木)

テアカパンの磯魚2種

019pukipuki_20200122032501 南シナロアは、ここんとこ良い天気続き。 氷に閉ざされたカナダや北米からの長期避寒客たちは、世界一快適な気候だと言います。 そうかもしれない。 最低気温が18℃、最高気温が28℃、湿度50%、雨の心配はなくて、多少の変動はあるけど毎日こんな天気。 今だけですけどね。 快適なのは11月から4月までの半年で、残りの半年は暑くってたいへん。 インディヘナ達みたいに移動生活ができればね。 彼らはね、夏は涼しい山岳地帯にいて、11月には季節農業労働者として山を下りてうちのほうにやってくる。 暑くなる4月には山に戻る。 OTTO翁だってできるはず。 本当に、絶対に、そうしよう。 あと2,3年のうちには、きっとね。  

036pukipuki_20200122025101さて、先日帰省中の息子と村の前浜に釣りに行ったんですが、こんなのが釣れました。 いずれも30cm以上で700grほどあります。

上はカワハギの仲間で、Balistes polylepis、現地名はコチト(COCHITO)。 下はフエダイの仲間で、Hoplopagrus guentherii、現地名はココナコ(COCONACO)。 これらは岩礁帯の魚です。 テアカパンはマングローブ域の砂泥浜ですが、捨岩や椰子の幹が沈んでるところには根魚がいます。 少ないながらも、ウツボやハタ、イセエビ、タコだっています。

039pukipuki_20200122025101 頑張って捌きました。 メキシコのカワハギにも大きな肝があります。

040ukipuki カワハギの頭、あばら、肝。 ニンニクを利かせた濃味の味噌汁にしました。 うほほ、美味しい~。 これらの部位は、うちのほうでは誰も食べないで捨てられてます。 もったいないですね。

胴体のほうは、冷蔵庫で2日寝かせてから、刺身に。 真っ白な身の、旨味のある刺身になりました。

005pukipuki_20200122030201 フエダイも2日寝かせて、鉄板で焼きました。 こちらもふっくら美味しい焼き魚に。

活けの魚は、死後硬直が緩みはじめるまで冷蔵庫で寝かせると、旨味が増します。 魚の種類と料理に合わせて時間を調節します。 テアカパンに来た頃はね、パクパク鰓蓋を動かしてる魚を捌いてすぐに焼き魚や刺身にしたりしたもんです。 それをやると、味のないゴムみたいなごりごりの身になっちゃいます。 いつでも活けの魚が手に入る海辺の村に住んで学んだことですな、あはは。 

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2020年1月21日 (火)

童話シリーズ 第8話 オスティオン

久しぶりに、童話シリーズ、南シナロアの小さな村に住む9歳の少女、セレステのお話し、行きます。 ちょっと長いですが、連載は読みにくいと言うコメントを戴きましたのでいっぺんに載せます。 最後までお読みいただければ嬉しく存じます。

 

...幼いころに父母を亡くしたセレステとフラビオ兄さんは、子供のいないテオドーロおじさんとチャヨおばさんに貰われて、村外れの小さな椰子の葉葺きのお家に4人で住んでいます...。

第8話、オスティオン

002pukipouki みなさんは、カキをご存知ですよね? そう、あのごつごつした殻の貝です。 カキフライとか酢牡蛎とかにしますね。 世界中の人が食べていて、すごく栄養があって美味しい貝。 僕は大好きです。 みなさんはお好きですか?

僕が住むメキシコにも、カキがあります。 波の静かな入り江や河口の岩には、たいていカキがくっついています。 何種類かあって、どれも食べられますが、あんまり小さいと手間ばかりかかるので、大きなものを集めて食べています。 

メキシコでは、カキはもっぱら生で食べます。 殻から身を出してそのまま食べても美味しいのですが、僕が一番好きなのはカクテルですね。 作ってみましょうか? 生きているカキの殻をこじ開けて、身を汁と一緒にコップに落としていきます。 7分目ぐらいまでたまったら、ライムをしぼってカチャカチャかきまぜます。 それから、トマトとタマネギのみじん切りを入れます。 最後にうんと辛いチリソースをちょこっと垂らす。 シナロア風、オイスターカクテルの出来上がりです。 トスターダと呼ぶパリパリのおせんべいのようなトルティージャといっしょにいただきます。 

それではセレステとカキのお話を始めましょう。 ところでカキのことをスペイン語でオスティオンと言います。 メキシコの人達はスペイン語を話しますから、カキのことをオスティオンと呼びます。 ですからこれからは僕たちも、カキのことをオスティオンと呼ぶことにしましょう。 だってメキシコでのお話ですから。

 

 セレステが住む村の近くでは、大きなオスティオンがシナロア川の川口近くの湾の中でとれます。 少し深いところの木の根や岩についていたり、海の底に転がっています。 それを漁師が潜ってとります。 大きなのは大人の手のひらぐらいあります。 この大きなオスティオンは高い値段で売れるので、漁師たちは町へ送ってしまいます。 セレステが住むパルミト村は10件ほどのお家があるだけの小さな村で、住んでいるのはお百姓さんや牛飼いですからオスティオンを買うほどのお金を持っていません。 お客がいませんから、誰も村にオスティオンを売りに来ないのです。 めったに村から出ることがないセレステとフラビオ兄さんは、オスティオンという貝があることは知っていても、食べたことも見たこともないのでした。

020pukipuki_20200120031501ある日セレステ達4人は、バスに乗ってグァサベの町へ買い物にでかけました。 シャツや靴下やセッケンやノートやカンヅメなどを買い揃えて、重い袋を両手に下げて、町を歩いていました。 道端には露店がたくさんでていて、時計やメガネやオモチャやいろんな物を売っています。 屋台からタコスやケサディージャを焼く香ばしい煙がただよってきます。 貝やエビのカクテルを売る屋台もあって、小さな赤貝のようなパタデムラや、茶色のハマグリのようなチョコラタなどの、セレステも知っている貝が山のように積んであります。 その横に、大きな灰色の軽石のようなものがあります。 ところどころ緑の海草が付いていて、どうやら貝のようです。

‘‘お兄さん、これなあに?‘‘

セレステは、お店のお兄さんにたずねます。

‘‘オスティオンだよ。‘‘

‘‘ええっ、これ、オスティオンなの? うわぁ、すごい! フラビア兄さん、大変だ! これ、オスティオンだって!‘‘

セレステは大声で叫びます。 座ってカクテルを食べている人達が顔をあげてセレステを見ます。 道を行く人たちも、みんな振り返ってセレステを見ます。

お店のお兄さんが笑いながら言います。

‘‘ああ、オスティオンだとも。 世界でいちばん美味しい貝じゃないか。 おねえちゃんは、いったいどこから来たんだい?‘‘

‘‘パルミト村からお買い物にきたの。‘‘

そこへ、チャヨおばさん走ってきて、セレステの腕をつかんで引っ張ります。

‘‘セレステ、あっちこっちチョロチョロするんじゃないよ!、さっさと歩きんしゃい。 ああ、はずかしい。‘‘

‘‘はーい、あばさん。‘‘

屋台にいた人たちが、げらげら笑いだします。

063pukipuki_20200120035301 ‘‘世界でいちばん美味しい貝だって...。‘‘

セレステは、テオドーロおじさんを見上げて言います。

‘‘ああ? オスティオンか? そうかもしれんな。‘‘

‘‘ふーん、そうなの...。‘‘

テオドーロおじさんは、お口をとがらせたセレステの顔を見て、クスリと笑います。

‘‘ちょっと待っとれよ。‘‘

屋台へ歩いて行きましたが、すぐに戻って来ます。

‘‘ダメじゃ、1ダース120ペソもしとるわい。‘‘ 

 

‘‘ねえ、おじさん、オスティオンって、どこでとれるの?‘‘

‘‘あれは海の底におる。‘‘

‘‘じゃあ、とりに行こ!‘‘

‘‘いや、だからあれは深いとこにおるからな、わしらには無理なんじゃ。‘‘

‘‘潜水艦が要るの?‘‘

‘‘あははは、それほどじゃない、ほんのちょっと潜るだけなんじゃがな。 そういえばわしも長いことオスティオンを食べてないのう。 そうだな、よし、近いうちに食べさせてやるわい。‘‘

テオドーロおじさんは、一人でうんうんとうなづくと、セレステの頭をポンとたたきました。

157pukipuki_20200120103101 次の金曜日の午後のことです。 セレステ達が庭で薪をつくっていると、ラモンおじさんのトラックが、がたごと入ってきました。 泥だらけのテオドーロおじさんとラモンおじさんが降りてきます。 テオドーロおじさんは荷台から大きな麻袋をよいしょとかかえると、ガチャリとおろしました。

‘‘お~い、お前たち、獲ってきてやったぞ! オスティオンじゃ! 世界一美味しい貝じゃ!‘‘

セレステ達が袋をのぞいて見ると、本当にあの時見たオスティオンが、袋の半分ぐらいまで入っています。

‘‘ああ、くたびれた。 これだけとるのがやっとだったよ。‘‘

テオドーロおじさんとラモンおじさんは、ホースで水を頭からざぶざぶかけて体をゆすぐと、乾いた服に着替えてでてきました。 それからオスティオンを半分に分けると、ラモンおじさんは自分の分を持って帰っていきました。

 

テオドーロおじさんはカトレ(麻布の簡易野外ベッド)に寝転がって、目をつぶっています。

‘‘おじさん、海の底まで潜って獲ったの?‘‘ 

‘‘ああ、ちょっとだけな。 今日はいちばん潮が引く日でな。 わしの背が立つぐらいのところでも、なんぼかはとれるんじゃ。 首まで浸かってな、こうやって足でオスティオンを探すんじゃ。 足に触ったら、潜って手探りで掴むんじゃ。‘‘

テオドーロおじさんは、はあっと息を吸うと、両手を頭の上に合わせてざぶんと水に潜る真似をします。 ほっぺを膨らませて息を止めて、掌を動かしてオスティオンを探しています。 何かを掴みました。 オスティオンが見つかったようです。 両腕をカエルみたいに動かして顔を上に向けて首を伸ばす。 ぷうっと息を吐く。 はあはあ苦しそうに息をしながら、オスティオンを掴んだ手を掲げる。 テオドーロおじさん、なかなかの役者ですね。

‘‘うわぁ、大きなオスティオン!‘‘

ぱちぱち手をたたいてセレステ達が叫びます。

‘‘ああ、ダメじゃ、これは石ころじゃ。‘‘

がっかりした顔で、ポイと投げ捨てる。

あははは... みんな、大笑い。

 

021pukipuki_20200120031501‘‘さあ、たべよう。 世界でいちばん美味しい貝じゃ。 セレステ、ナイフとライムを持っておいで。‘‘

 テオドーロおじさんは、ナイフの背でオスティオンの殻のはしっこをカチカチたたいてこわすと、ナイフを差し込んでこじ開けます。

‘‘お汁が美味しいから、こぼさんように開けるんじゃ。‘‘

平らなほうの殻は外して捨てて、深いほうに身を残します。 たちまちテーブルの上に、40個ほどのオスティオンがならびました。 

 

‘‘さあ、こうやって食べるんじゃ。‘‘

テオドーロおじさんは、からのはしをもってつまみ上げると、ライムをぎゅっとしぼって、つるりと丸のままお口に含みました。 ゆっくりと、ほほをふくらませて、もぐもぐ噛んでいます。 そして、目を細めて、ごくりと飲み込みました。

‘‘ああ、うまい。 さあ、食べてみろ。‘‘

チャヨおばさんも、フラビオ兄さんも、貝をつまみ上げます。

セレステも、大きなのを一つとると、手のひらの上に乗せて、ライムをしぼります。 灰色の身が、キュウッとちぢみます。 それを、お汁ごと、つるりとお口いっぱいに吸い込む。 パアッと潮の香りが、お口じゅうに広がります。 もぐもぐと、ゆっくり噛みます。 からだ中に、甘い海の香りが、しみわたっていきます。 ああ、これはもう、海を丸ごとたべているようです。 セレステは、目を閉じます。 まるで朝の海にいるような気持ちです。

セレステは、ゆっくりゆっくり噛んで、つるりと柔らかく、こりこりした身を、舌の上で転がして味わいます。 

‘‘うわぁ、美味しい! ほんとに世界でいちばん美味しい!‘‘ セレステは、叫びます。

‘‘そうじゃろ、そうじゃろ。 ゆっくり味わって食べるんじゃぞ。 そうそう獲りに行かれんからの。‘‘

001pukipuki_20200120093501テオドーロおじさんは、5つほど食べると、またカトレにごろりと横になって、目をつぶりました。 

 テオドーロおじさん達は仕事を早くきりあげて、セレステ達のためにオスティオンをとりに行ってくれたのでした。 足にも脛にも腕にも、赤い擦り傷があちこちにできています。 岩や貝殻で切ったのでしょう。

‘‘おじさん、子守唄歌ってあげようか?‘‘

‘‘ああ、歌ってくれ。 あんまりうるさくないようにな。‘‘

セレステは、海の歌を歌いはじめます。

🎵…ラマール エスタバ セレーナ… ...セレーナ エスタバ ラマール…🎶 

テオドーロおじさんは、もういびきをかいています。 せっかくの、セレステの子守唄も、聞こえていないようです。

・・・お終い・・・

セレステの海の歌

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