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2017年4月 7日 (金)

アルゼンチンの肉食の話

Img_9530さて、1か月以上も放置していた、南米の旅の話をしましょうかね、ぼちぼち。 アルゼンチンは4回目だったんですが、いつも行くところはだいたい同じ、ブエノスアイレスからパタゴニア中部の海岸です。 もうそんなに目新しいこともありませんが、やっぱり語るとしたら、肉ばっかりの話ですかな。

もちろん他の料理が全く無いってわけではないんですけどね。 パスタとか...、ここで止まっちゃうのね。  しいて言えば、サンドイッチとかエンパナダとか、あとは美味しくないパン、肉の付け合せの揚げジャガイモ、ワインとマテ茶?(´・ω・`)。

それはそれで、美味しいんだけど、苦しいなぁ。 で、アルゼンチンの連中ときたら、サンドイッチとかエンパナダの軽食で繋いどいて、ほとんど毎日、ドカンと肉食ってるみたいなんだよな。 で、俺たちは、肉さえあればいいのさ、なんてうそぶいてるのね。

で、その肉だけど、ビーフが主で、羊もある。 アルゼンチンの肉の特徴は、獣臭が無いこと。 脂にも、ほとんど味がない。 じつにさっぱりしている。 まあこれは悪く言えば、肉の風味に乏しいともいえるんだけどね。

アルゼンチンでは、ロインや胸肉や骨付きのバラの何キロもある塊を、何の下味もつけずに、塩すらちょこっと付けるだけで、鉄格子みたいな鉄網(パリージャ、PARILLAと言います)の上で、気長にひっくり返しながら、2時間もかけて薪ほ熾火で焼く。 急ぎの時は、アメリカンステーキみたいに3cmぐらいに厚切りにして、直火で焼く。 肉500grが一人前の標準だ。 上の写真は、羊肉の盛り合わせだけど、骨付きなんで800gr。 付け合せは、肉の下に隠れてる、揚げジャガイモだけだ。

Img_9379肉皿以外にテーブルに運ばれてくるのは、ぱさぱさのパンと、写真の薬味だけ。 緑のがチミチュリ、左がアヒー(唐辛子でやや辛い)、右がクリオージャ(いろんなハーブ)、いずれも酢とオリーブ油ベースで酸っぱい。 肉塊をナイフでぐりぐり切って、薬味をちょこんと乗せて、もぐもぐ。 赤ワインを含み、もぐもぐ。 黙々と、肉を口に運び。 金髪の細身のご婦人までが、平らげちゃうのよね、こんなのを楽々と。

初めてアルゼンチンに来たとき、そういうのを見て、ようしと張り切って、がつがつ食い始めたけど、はっきり言って進まないのね、あんまり。 だってね、何の味もついてない、塩味すらまともについてない肉なんだから。 薬味は酸っぱくていくら乗せても肉になじまないし。

テーブルには、塩もコショウも置いてない。 ボーイさんに持ってきてもらって、塩コショウをしゃかしゃか振り振りし、もぐもぐ、よしよし肉らしくなったぞ、でも通りかかるウエイトレスたち、ちらっと見て軽蔑の表情で去っていく。 そういう食べ方はしないみたいだ。 

005_2風吹きすさぶパタゴニアパンパの大平原をバスに揺られ、たどり着いた飛砂で埋もれてしまいそうな町のレストランでは、塩コショウを頼んでも、いつまでも持ってきてくれなかった。

肉を噛みすぎて痛む奥歯を気にしつつ、塩気のない肉を呑み下しながら、僕は思った。

これは、主食の食べ方だな。

僕らが白米を食べるように、メキシコ人が甘くないトウモロコシのトルティージャを食べるように。 さっぱり味の肉塊を、香ばしい煙でじっくりと素焼きにして油を落とし、滋味を凝集させ、ちょこっと酸っぱい薬味を乗せて...、肉をたくさん食べるには、こうなんだろうな。 僕らが漬物でご飯を掻き込むみたいなもんか...。

それからね、アルゼンチンの肉食習慣は、ガウチョの文化だそうです。 故国を離れ、見知らぬ土地の荒野にやってきた移民たちの、その子孫のガウチョたち。 ラクダもどきのビクーニャとか、ダチョウもどきのニャンドゥとか、見慣れない新大陸の生き物が闊歩する、遠い異世界の平原を、先住民たちと交わりつつ放浪し、荒馬を乗りこなし、牛を追い。 荒野の唯一の糧である獣を屠り肉を炙った、荒野の民、ガウチョたち。

ひゅうひゅうなる風の音を聞きつつ、肉を頬張るうちに、よしよし、だんだん愛着が出てきたぞ。 やっぱりアルゼンチンでは、肉はこうでなくっちゃな。 よし、頑張って食おう、確かにこれだと飽きが来ないで、じゃんじゃん食べられるぞ。 

というわけで、僕は毎日大盛りの肉皿を平らげていたんだけどね。 まず、3日目ぐらいから排便に苦労するようになった。 それから、いつも胃が重く空腹感がなくなり、体はだるい。 肌はカサカサなのに脂っぽくて、体臭まで肉っぽくなってる気がした。

う~む、ガウチョを偲ぶにも、体力がいるな...。 それから、この連中と日本人では、体のつくりが違うのかも、とも思った。

今回の2週間のアルゼンチン滞在では、肉の大皿は2回だけにした。 塩コショウをたっぷり振って食べた。 肉の味そのもので、肉の味だけで、とても美味しいと思った。 こんどは、もっと食べよう、なんて思った。 アルゼンチンに通ううちに、毎日食べたくなるかもしれないな、アルゼンチンの肉。 ガウチョ~、ガウチョ~、なんて念じつつ。 やがては塩なしで、ちゃんとチミチュリとかクリオージャとか付けてね。

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コメント

私は・・・アルゼンチン行けないな~。
お肉を食べると言っても、せいぜい100グラム。
毎日お肉ばかりだと食欲ゼロになりそう~。coldsweats02

投稿: マーチャン | 2017年4月 7日 (金) 08時24分

>マーチャンさん
いやいやだいじぃうぶ、きっと食べられるようになりますよ。 要は愛着と愛情、それから気合です。 ...でもまあ、ある程度までだけど(言い切ってから弱気になってたりして)。

投稿: OTTO | 2017年4月 8日 (土) 13時22分

1か月のベトナム旅行から戻ってきました。この1か月に食べた肉を全部足しても上の写真の半分ぐらいかも?ベトナムでは”豚肉とXXXの炒め”というようなメニューでも、XXXにちょっぴり豚肉といった感じでした。PhoやBun Chaにはとても食べきれないてんこ盛りの青菜系の野菜がついてきます。どうりでベトナム人はみんな細いんだ。メタボには縁のない国ですね。

投稿: Midori | 2017年4月11日 (火) 01時09分

>Midoriさん
アジアって、食材が多様で、しかも汁物、麺類があり、汁や炒めに使える葉っぱ類が揃ってて。 アジアの食文化が入ってるエクアドルやペルーは、いささかそういう要素があります。 僕は基本、肉食なんですが、量はいらないんです、メキシコで渇望するのは青菜でして、特に夏場は野草で我慢してるぐらいで。
でも、アルゼンチンは、あんな食事なのに、みんな細身なんですよ。 肥満にはほかの要因があるのかも。 メキシコ人だって、うんとストレスをためれば、細くなるのでは、いやバカ食いで逆かな?

投稿: OTTO | 2017年4月12日 (水) 03時30分

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