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2017年12月13日 (水)

祈り

030pukipuki今朝早く、若い漁師が一人、死んだ。 まだ真っ暗な4時に浜を出て、湾口の浅瀬で横波を受け、小さな船外機付きの漁船は覆り、2人はブイに捕まったが、彼だけは浮かばなかったそうだ。

今年もエビが不漁で、それでも少しはましなテアカパンへ、妻と2人の子供を残して、隣州の村から漁船を曳いてやってきて、3日目だと言う。

オバサンたちの、眉を顰めているけれど、いなくなっても困る人ではないと言う、安堵が臭う喧しいおしゃべりが耳障りで、今日は一日気が重かった。

日が暮れてから、浜に出てみれば、老漁師が洞のような灰色の目で、空を見上げて話しだす。

4時の湾口は魔物がいる。 俺が若かったころ、あそこで船が何度も難破したが、いつでも夜明け前の闇だった。 村の奴らは、あの時間には出ないんだ。 奴は他所から来たばかりだから、知らなかったんだ。 少しでもよけいにエビを獲って、家族に金を送りたかったんだろう。

...西の海原の彼方に、いつも雲が切れて、光が射しているところがある。 ラ・グロリア。 海で死んだ漁師は、ラ・グロリアの光の道を通って、天に行く...。

ほら、ラ・グロリアだ。 無事に天国に、行ったようだな。

僕にはどの光が、ラ・グロリアなのか分からなかったけど、すっと心が軽くなった。

...数多の魚の命を取った、男が一人死んだだけ...。

ラ・グロリアの光の中で、殺めた魚たちに、会えただろうか?

夕焼雲が光を失い、きれいに澄んだ、冬の空。 星たちが、雲の向こうで瞬きはじめた。

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