2012年12月 8日 (土)

ビジャ・ウニオン、午前10時

0aaaaaaacanon511_convert_2012120310 マサトランから南へ約20kmにある町、ビジャ・ウニオン(VILLA UNION)のセントロ(ダウンタウン)近くの街路。

綺麗ですねぇ、いかにもメキシコの田舎町。

 

ビジャ・ウニオン午前10時 

暗いぐらいに青い空から、日がさんさんと降りそそぎ

町の喧騒と、かすかに聞こえるラテン音楽

タコスを焼く煙やら、排気ガスやら

人いきれやら、生ゴミや

ありとあらゆる生活臭が、ほのかに甘く醸熟された

そんな街路を吹き抜ける、風の妖しさ芳しさ

まるで熱帯花咲き誇る、秘密の薗にいるようだ

...時は移ろい また巡り...

...その濃密さ また儚さ...

 

そうだよね...、ここは楽園、紛れも無い。

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2012年11月27日 (火)

母の思いーII

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そそくさと持ち帰った母の遺品の書作の中に、思いがけなく僕の詩があった。 几帳面な楷書で、色紙に横書きに書かれてあった。

   

いったい 何なのでしょう

さえぎるもののない 地平から来る

風の音を聞いたとき

遠くへ 遠くへ 行きたいのです

恋のような この想い 

確かに、あなた方がくれたものです

お父様 お母様

私は あなた方の子です

  

これは、今を去る28年前、僕がアメリカに発つときに、父母に贈ろうと思って書いたものだ。 だけど、感傷的な父母を前にして、結局ノートに書き付けたままになった。 僕はその時、多分すぐ帰ってくるからと言い、実際そう思っていたのだが、父母ははっきりと予感していたのだと思う。

母は、僕が残したノートを繰り、この拙い詩句を見つけ、色紙に写したのか。 どんな思いで...?

この色紙を見たとき、初めて母を亡くした悲しみが、波のように襲ってきた。 心から、母の思いに感謝し、親不孝を詫びた。

お母様、僕はきっと、貴女の様な親になります。

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2012年11月26日 (月)

母の思いーI

0aaaaaacanon1074_convert_2012112212 一昨年の、桜が満開の頃、母が死んだ。 その前の年の夏、家族全員で里帰りしたときに、肺癌だった母は、もう会えないねと言った。

唐突に兄から母の訃報が届き、僕が母の位牌に手を合わせたのは、2ヵ月後だった。

その時は、またすぐに日本に来る予定があったので、母の遺品はほとんど持ち帰らなかった。 十数枚の条幅や半紙の書と、墨絵の色紙だけ。 母は書家だった。 予定が変わって、それ以来日本に帰っていない。

先日、引き出しを整理していて、母の作品に混じって、ノートの切れ端が何枚か出てきた。 僕の殴り書きの詩。

僕は、山陰地方の大学を卒業し、ほんの一週間ほど実家にいただけで中部地方に就職し、それから4ヵ月後にロサンゼルスに渡った。 その時も、ほんの3日ほど、実家に寄っただけだった。 そしてそれ以来、アメリカとメキシコに住んで28年になる。

母は、僕の置いて行ったノートを開き、目に留まった詩のページを千切ったのだろう。 そして、作品の間にはさんだ? 何時のことだろう? どんな気持ちで?

詩はいずれも、僕が大学生だった時のものだ。 どうして一途じゃいけないの、大人の恋ってなんだろう、なんて切ない文が並んだのもある。

その中で、丁寧に折りたたんであったのが、下記です。 当時僕には、ステディではなかったが気になっていた人がいて、アメリカへ発つ時に、その娘に会いに行った。 その時に書いたもので、詩と言えない様な拙いものだけど。 

  

秋には日本にいないのに 君と秋の話をしてる

風がざあっと吹きぬけた様に 心がしんと冷たくなった

8月初めの真夏日に ロサンゼルスへ僕は行きます

秋風吹いて落ち着いた頃 きっとお便りいたします

  

秋には日本にいないのに 君と秋の話をしてる

日差しがふっと翳ったように 心がすっと暗くなった

夾竹桃が真っ赤に燃える ヒロシマディの頃 僕は行きます

言葉になれて友達できたら 笑顔の写真を送ります

 

...君は、母ではなかったのだが、母は思いを重ねたのだろうか...。

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2012年10月 2日 (火)

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秋が空から降りてきた朝

野花咲き散る草原は 青い光がいっぱいで

玻璃の微塵の細波の中

緑の目玉を凛と張り 威張って過ぎた蜻蛉が

コツンと乾いた音を立て 虹を散らして地に落ちる

命が一つ失われ 空はいっそう青くなる

鳥の群れ 碧空から下りて来る

ユキシラサギは留鳥で サンショクサギは夏の鳥

留まる鳥も行く鳥も 青い虚空に波を立て

空の青さは天使の翼

還る命の数ほどに 空は群青に澄み渡る

秋の野花咲く草原に 天がすっぽり下りてきた朝

成層圏の雲までが 青く暗く輝いている

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2012年3月 9日 (金)

詩 作品ー5 春を知らない鳥

先日見た、鳥のことを想いつつ...。 http://teacapan.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-9090.html

僕は、君にあったお陰で、どんなに辛くても生きていける。 そして、どこかの時空の中で、いっしょに飛ぼう、こんなふうにね。

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春を知らない鳥

 

私は 忘れられた籠の鳥

小さな頃さらわれ 町に来た

一尺四方が私の 世界の全て

いつでもたった 一羽きり

春の風も 恋も知らずに

歌う春の 悲しい調べ

るるるるる... るるるるる...

 

光も風も来ない 北の部屋

お外は 小さな絵のように

遠くの窓から 見えるだけ

それでも 時が巡り来れば

知る事の無い 春を歌う

それが 生きてる証のように

るるるるる... るるるるる...

 

私は 忘れられた籠の鳥

歌うことだけが 望みです

誰も聞かなくても 良いんです

誰も来なくて 良いんです

命の限り 歌い続ける

私が誰かも 知らないままに

るるるるる... るるるるる...

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2011年12月17日 (土)

詩 作品ー4 旧友

久しぶりに、詩のようなもの、いきます。 どうかよろしく。

それでは、作品ー4 旧友

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旧友

今日はね、朝の5時からエビ漁の手伝いさ。 波にもまれる小舟の上で、網を引きあげ、ピンピン跳ねるエビを拾い集めるんだ。

漁獲は3人がかりで50キロ。 お昼に浜に戻ったら、木箱に入れて網元の冷蔵庫までうんうん運んでさ、船を掃除し、網やらロープを片付けて、200ペソ貰ったよ。

それから浜で仲間と火を焚いて、金にならない貝やらカニを鍋に叩き込んでね、魚はおろしてライムで締めて、お腹いっぱい食ってきた。

疲れてうとうとしてたところに、お前の電話が鳴ったんだ。 びっくりしたよ、元気そうだね。

0bcanon1418_convert_20111216131649俺が会社を辞めてから、もう7年になるんだな。

その後お前は、罪を着せられクビになり、失業手当で揉めたあと、長く仕事が見つからず、家族を連れて砂漠を超えて、アメリカに渡っていったと聞いてたよ。

それじゃあお前、今は現場のボスなんだ。 なんだかすっかり立場が逆になったねぇ。

100_9175_convert_20100924124509あの日お前が仲間を語らって、賃金アップを言ってきたとき、俺は厳しいノルマを突きつけたよね。 それから屋台で落ち合って、タコスを齧りながら夜更けまで話したんだ。

共存共栄だなんて嘘っぱち、騙されないぞ言ってたくせに、俺たちは案外すんなりと、意気投合したんだよねぇ。

仕事をちゃんとマニュアル化して、誰もが分かるように評価して、ボーナスを上限無しの歩合制にしようとね。 毎日仕事が引けてから、規則とノルマを作ったね。 あの時は楽しかったねぇ。

100_9176_convert_20100915121304お前は従業員に説明し、俺は会社を説得し、歩合ボーナスが始まった。 今までまるで、屠殺場に引かれていく牛のようだったお前達が、遠足に行く子供のように、眼を輝かせて配置についた、あの日の事は忘れない。

最初の3ヶ月で、目覚しい成果が上がり、お前なんか3倍以上も数字をあげたね。 歩合ボーナスのほうが、給料より多かったんだってな。

Canontest025_convert_20111216094820やがて会社はボーナスの払いを渋りだし、俺には、今まで無理に仕事をさせなかったのか、なんて言い出す始末。 ある朝いきなり新しい、現場主任が現れて、俺は倉庫番に廻された。

後はお前も知っての通り。  社長との直談は物別れ。 いくら現場がよくなったって、こんなボーナスをどうやって本社に説明できるか、よけいな事は止めてくれ、そうぬかしたよ。

俺は席を蹴とばして、社長室のドアを思いっきり閉めて出て行った。 ガラス窓が砕け散り、がらんと空いた隙間から、アッカンベーをしてやったのさ。

100_9164_convert_20100911135149それからお前は大変だったそうだね。

会社は毎月ノルマを上げてきて、やがてはボーナスを、一銭も払わないようにした。 お前は仲間に担がれて、ストライキまで企てたけど、やがてみんなはお前を捨てて、お前があれほど嫌ってた、ユニオンに加入したんだよな。

俺も会社を辞めてから、ほんとにいろんな仕事をしたよ。 いままで楽をしてたから、汗水たらして働いて、その日喰うだけの日銭を貰う、なかなか馴染めなかったよ。 苦しかったぜあの頃は。 お前の気持ちが良くわかったよ。

P1010059_convert_20101007140720でも今ではね、体が空いてりゃ漁師もするし、土方だってするんだぜ。 もちろんそれだけで、喰ってるわけじゃあないけどね。

娘は大きくなっただろうね。 もう中一なんだ。 英語がペラペラだって、 そりゃあそうだろ、だけどもスペイン語のほうも、しっかり教えとくんだぜ。 それからお前が好きだった、ナワトル語だかなんだかも。 お前達は、聖なるアステカ戦士だからね。

100_5403_convert_20111216095254春には休暇でこっちに来るってかい? そりゃあ凄いや、凱旋帰国って感じだね。

お互い遠慮することなんて、これっぽっちもないよねぇ。

一日ぐらいは時間を空けて、俺の処にも寄るんだぜ。 漁師になった俺様が、海鮮鍋をご馳走するぜ。

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2010年11月19日 (金)

詩 作品ーIII アカポネタの少女

101_0015_convert_20101116125959 アカポネタの少女

長距離バスのステーションはどこですか?

今いるのはここですよね?

地図を広げてわたくしは 少女の顔を覗き込む

 

少女は 産毛の生えた柔らかな口を尖らせて

地図に顔を近づけて しきりに指でなぞっていたが

やがてアハハと笑い出し くるりと地図を回して見せて

反対だわ、とわたくしの腕をそっと叩く

 

ひんやりとしたその手の心地よさ

茶色の長い髪さえも さらりと揺れてわたくしの腕をくすぐって

午後の陽射しに透き通る

 

このインディオの血の濃い少女 頬や目の色もわたくしと同じ

 

彼方はバス停のすぐそばにいたんだわ

地図を逆さに見たせいで 迷ってずいぶん遠くに来たのよ

気の毒だけど今来た道を そのままずっと戻っていって

右手に教会が見えたなら もうすぐそこがバス停だから

もしも見つからなかったら うろうろせずに誰かに訊くのよ

 

まるで子供に話すように まっすぐわたくしの目を見つめ

ゆっくり話すその少女

その瞳にも 木立と白い綿雲が 小さく遠く映って揺れる

 

いいわね それじゃあ気をつけて えくぼを見せて手を振って

少女は首を傾ける

 

...ああ 貴女を包む光の微粒子は わたくしがいつも恋焦がれる

秋草咲き乱れる ふるさとの野原の風のようです...

 

わたくしも小さく手を上げて 石畳の坂道を

何度も振り返りながら ゆっくりと歩き出します

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2010年10月18日 (月)

詩 作品II 休日

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休日

 

椰子の木の影がさらさらゆれて  砂丘の向こう側まで伸びて

夕日は赤く海原青く  反対色のその調和

 

私はひとり  流木に腰を下ろして膝を抱き

釣り竿がコトコト動くのを見ている

 

男が1人バケツを下げて  重い投網を肩から下げて

私のバケツをのぞいて言う

 

…たった一本の釣り糸に  たった一つの釣り針で   とれる魚は知れたもの

網でとらなきゃだめだよう

お前たちにはテクノロジーでは  とうてい勝てはしないけど

魚を捕るのは知らないのだな…

 

確かに私のバケツには  あわれなナマズが2匹だけ

ひげを振り立てあえいでいる

それもめんどうくさいので  帰りに逃がしてやるつもり

 

…女房子供が腹をすかして  お前を待っているのだろう…

 

男はバケツを傾けて  ボラを10ほど私のバケツに流し込み

もうおそいから帰りなと  肩をたたいて笑って過ぎる

 

ボラ達は  水をかきまぜ泳ぎだすのと

腹を上にして  パクパクえらを動かすのとが半々で

私は  男が見えなくなるのを待ちかねて

2匹のナマズと元気なボラを   ポチャン、ポチャンと波間に投げる

 

生き返らないボラどもは  食べてやらねばなるまいな

よけいな仕事がふえたけど  たまにはボラを食べるのもいい

 

私はかりかりリールを巻いて  帰りじたくを始めだす

 

水に映った夕焼け雲を  二つに分けて波立てて

きれいに餌をとられた針も  にぶく夕日にちらちら光る

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2010年9月13日 (月)

詩 作品1 セントロ

今回は、ちょっと趣を変えまして、詩のようなものを載せます。 見たもの、感じた事を簡単に綴った拙いものですが、どうかよろしくお願いします。

それでは作品1、セントロ

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セントロ

タコスを焼く煙が青く漂い  獣脂の匂いがしみついて

靴がペタペタくっつくような  セントロの歩道は  

バザールがいっぱいで

行き交う人の顔や腕まで  脂に鈍く光っている

 

赤や青やらピンクや緑  色とりどりに織られた布や

あるいはそれを使って作った

民族衣装の人形や  刺繍をいれた手織りのバッグ

 

そんな悲しい色とりどりを  身にもまとったインディオの

やせた女が赤子を抱いて  むっつり黙って手招きをする

 

何日かかって作ったのやら

ぞっとするほど手の込んだ  ただただ色の洪水の

重い木綿の手織りの布は  いったい何に使えるものか

毒ある虫の羽のように  身にまとうには気味悪く

床に敷いても落ち着かぬ

 

茶色の口が白く割れ  目をそらしたまま値段を言う

それがまた  悲しいほどに安いので

買わないわけをどう言うか  考えながら立ち止まる

 

胸の赤子は煤けた顔に  目やにの浮いた二重まぶたを見開いて

黒いひとみで私を見る

 

クラクションやら物売りや  交通整理やマリアッチ

バスの戸からは人がこぼれそう

 

あらゆる町の喧騒が  満ちたセントロの昼下がり

あらゆる色の悲しみが  満ちたセントロの昼下がり

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